精工舎(現セイコー) ネーション ポーセリン 二重ケース モリス9型 Ref.9047 / SEIKO NATION Porcelain Dial

─ 戦前の意志 NATION ─

現セイコーが戦前1920年代末頃から製造開始した、

代表的な国産腕時計のひとつ。

文字板にはペットネームと言える「NATION」の名が刻まれ、

ローレルやダリヤと並ぶ、横文字名称の系譜に属します。

当時、一般労働者の平均月給は、およそ20円65銭。

「NATION」の販売定価は、8円50銭でした。

─ 曲線と深度 ─

針はブレゲスタイルを採用。

インデックスも同様に繊細な曲線を描く構成で、

そこへブルースチールの針が 文字板に静かな深度を与えている印象。

視線が留まり、構造の意図が立ち上がります。

─ 軍用としての構造 ─

ケースはダストプルーフ仕様の二重構造により、

防塵性を高めた設計。

「 特許第274740号 防塵 」。

軍用時計としての用途を想定されており、

構造に硬質な意志が宿っております。

─ Cal.モリス8型 ─

「○型」という表記は、ムーブメントの直径による分類。

たとえば当個体に搭載される「8型」は、

およそ23mmのサイズを指します。

大きいタイプは「9型」（約26mm）、

更に大きいタイプは「10型」（約29mm）。

数字がサイズの目安として機能しています。

この分類はセイコーだけでなく、

シチズンなど他の国産メーカーでも、

戦前から使われていた慣習的な表記。

型番というよりは、サイズ記号に近い意味合いを持っております。

WatchTender銀座店へのご来店ご予約はこちらから。

watchtenderginza.com